凌辱めす市場 監禁

映画情報
タイトル: 凌辱めす市場 監禁
公開年: 1986年（昭和61年）
監督: 上垣保朗
脚本: ガイラ
撮影: 鈴木耕一

あらすじ

身寄りのないOL、内山美樹は、ある夜、女装した男に薬をかがされ、拉致されてしまう。目覚めると、そこは巨大な倉庫のような場所で、美樹と同じように裸にされた他の女性たち（亜紀子、晴代、博美、よし子、桂子）がいた。彼女たちは、女性たちを海外に売り飛ばす組織に誘拐されたのだった。

組織の男たちは、監禁された女性たちを次々と凌辱し、処女のよし子はショックで失神、発狂してしまう。美樹と亜紀子は必死に抵抗し、脱出を誓い合う。しかし、脱走を企てた亜紀子は組織の男に銃で撃たれ、死の直前に犯されてしまう。美樹は抵抗の末、男の局部を噛みちぎり、糞便を漏らして身を守る。

そんな中、組織の一員であるY（吉岡）が、薬物中毒に蝕まれていることもあり、美樹に一緒に逃げようと誘う。二人は銃撃戦の末、夜の街を逃走し、無人の小屋に隠れる。

しかし、Yは禁断症状に苦しみ、注射器を逃走中に失っていた。美樹はYを抱きしめて救おうとするが、彼は薬の誘惑に勝てず、「埠頭で会おう」と言い残して小屋を出ていく。美樹が埠頭に向かうと、そこにはYの死体が横たわっていた。

この作品は、理不尽な監禁と凌辱、そして脱出を試みる女性たちの姿を、ハードボイルドかつグロテスクなホラー路線で描いています。「現代の女衒」の暗躍をテーマにした、日活ロマンポルノの中でも特にハードな作風と評されています。

配役

内山美樹: 麻生かおり
斉藤亜紀子: 小川美那子>
荒木晴代: 清元香夜
水川桂子: 藤村真美
佐迫博美: 安西久美
和泉よし子: 風原美紀
Y（吉岡）: 青木竜也 U（宇野）: 益富信孝
J（外国人）: デニス・ロバートソン
H（外国人）: アリ・プレティ
O（大崎）: 小見山玉樹
S（白石）: 奥山貴彦
警官: 佐藤了一
女A: 小田千枝子
女B: 花井のり子
女C: 小宮弓子

エピソード・話題

1980年代の日活ロマンポルノはレンタルビデオの普及期にあたり、よりハードな路線の作品が多く製作されました。本作もその一つで、そのハードボイルドな作風と不条理な世界観が評価されています。

脚本は「箱の中の女 処女いけにえ」も手掛けたガイラが担当しており、両作品には共通するテーマや雰囲気が見られます。

主演の麻生かおりは、この作品でその美貌と豊満な肉体が高く評価され、SM的な作品によく似合うと評されています。共演には小川美那子、清元香夜、藤村真美といった主演クラスの女優に加え、新人女優コンテストで準優勝した安西久美も出演し、豪華な顔ぶれとなっています。

他のロマンポルノ作品とは異なり、監禁というテーマをシリアスに描いている点で、空気感の異なる映画と感じる観客もいます。

後のVシネマ的な世界観を先取りしたような映像表現が用いられており、見る人を選ぶ面もあるものの、高い完成度を持つと評する声もあります。

作中には、抵抗のために男の局部を噛みちぎるシーンや脱糞して抵抗するシーンなど、衝撃的な描写が含まれています。

監督の上垣保朗は、ロマンポルノ末期の1986年頃に本作を監督しており、この後も数本のロマンポルノを撮り続けています。

時代背景

「凌辱めす市場 監禁」が公開された1986年（昭和61年）は、日本経済がバブル景気へと向かう途上にあった時代です。しかし、にっかつロマンポルノは、この頃すでにその役割を終えつつあり、作品の方向性も変化を遂げていました。ビデオの普及に伴い、より過激でハードな描写が求められるようになり、本作もその流れを汲む作品の一つと言えます。

上垣保朗監督は、日活ロマンポルノにおいて「10分に1回絡みのシーンを作る、上映時間は70分程度」という基本ルールを守りつつも、様々なジャンルの作品を手掛けています。

彼の作品は、当時のファッションやメイク、東京や地方のロケ地の風景など、70年代から80年代の時代感を色濃く反映している点も特徴です。本作のような監禁・凌辱をテーマにした作品は、当時の社会に潜む暗部や不条理を描写しようとする試みでもあったと解釈できます。

このように、「凌辱めす市場 監禁」は、当時の日活ロマンポルノの状況と、上垣保朗監督の個性的な作風が結びついた、衝撃的な作品として位置づけられます。

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